Xジェンダーやジェンダーレスについての本ってあるのかな?
いわゆる「LGBT」や「LGBTQ」の中には含まれていないXジェンダー。ノンバイナリーやジェンダーレスとも呼ばれています
Xジェンダーも性自認(心の性)の観点でセクシュアルマイノリティのひとつです。
Xジェンダーについて知りたい!と思っても、Xジェンダーやジェンダーレスの本ってほとんどないですよね。
今回はそんなXジェンダーやジェンダーレスだけに焦点を当てた数少ない本、『Xジェンダーって何?』を紹介します!
Xジェンダーとは?
Xジェンダーとは、
性自認を表す言葉の一種で、出生時に割り当てられた男性もしくは女性の性別のいずれかに二分された性の自覚を持たず、自己の性別に関し、男女どちらでもない、あるいは男女どちらでもある、さらにはそれすらもどちらでもないといった認識を自己の性に対してもっている人々
Xジェンダーって何 ? p.3
心と体の性別が一致せず、かつ、男女どちらか片方のみに属した性自認を持たない人
Xジェンダーって何? p.17
だと、今から紹介する本『Xジェンダーって何? 日本における多様な性のあり方』内で定義されています。
本記事では”Xジェンダー”と紹介していますが、”ノンバイナリー”や”ジェンダーレス”の人も広い意味ではXジェンダーです。
Xジェンダーについて詳しくは、Xジェンダーとは? 【男女の枠に属さないってどういうこと?】(JobRainbowという外部サイトに飛びます)
Xジェンダーの本でおすすめは『Xジェンダーって何?』
さて、昨今では「LGBT」や「LGBTQ」、「多様性」という言葉が急速に広がり、最近ではLGBT関連の書籍も以前とは比べ物にならないほど増えました。
しかし、Xジェンダーやジェンダーレスに関する書籍はほとんどないのが現状です。
Xジェンダーだけでなく、「LGBT」に含まれないセクシュアリティに特化した本はほとんどありません。
そんな中で、なんとXジェンダーについて詳しく書かれた書籍があるのです。
それが、今から紹介する『Xジェンダーって何? 日本における多様な性のあり方』です。
学生時代から今も、LGBTに関する書籍は一通り調べて目を通したものも多いですが、Xジェンダーに関する本は『Xジェンダーって何?』ぐらいしかありませんでした。
読んだきっかけ
『Xジェンダーって何?』を読むまで、自分のセクシュアリティがわからず迷っていました。
LでもBでもTでもない…自分って何なんだろう…
ある日、卒論のために読んでいたLGBT関連の書籍の中に”Xジェンダー”という言葉を見つけ、「もしや自分はこれなのでは?」と思いました。
Xジェンダーについて詳しく知りたいと思い、Xジェンダーに関する本がないか調べたところ、この『Xジェンダーって何?』に行きついたのです。
著者はXジェンダー団体の当事者
執筆は複数の方が担当しており、Xジェンダー当事者や精神科医、臨床心理士などが執筆しています。
編著者はLabel X(ラベル・エックス)というXジェンダー当事者自助サークルです。
Xジェンダー当事者の団体で、交流会などを行っています。
Label Xについて詳しく知りたい方はチェックしてみてください。
本の構成
さて、『Xジェンダーって何?』は、以下のように構成されています。(目次を引用しています。)
はじめに
第一章 Xジェンダーの性自認
第二章 Xジェンダーの性の自己決定権
第三章 Xジェンダーの日常における様々な課題
第四章 Xジェンダーと社会共生
第五章 Xジェンダーとその他の性別違和を抱える人々
第一章ではXジェンダーの定義や名称の由来、Xジェンダーという性自認がどのようにして決まるか、Xジェンダーのアイデンティティやタイプ(中性、両性、無性、不定性)について詳しく書かれています。
「性別違和を感じたときに思ったことや感じたことは?」の答えに「これこれ!」と共感したり、自分と同じように感じた人がいっぱいいるんだと思いました。
第二章では、Xジェンダーが自身の性をどう捉えているか、Xジェンダーとしてどう生きていくのかといったことが書かれています。
戸籍を変えるかどうか、身体的治療にも触れています。
第三章では、Xジェンダーの一人称や服装、カミングアウトなど日常の課題に着目。当事者アンケートによるカミングアウトに関する回答も必見です。
第四章ではXジェンダーが社会に望むことに対して焦点が当てられ、社会におけるジェンダー規範や偏見や性的役割、就職活動に言及しています。
第五章では、クエスチョニングやトランスジェンダーなどの性別違和とXジェンダーを並べ、相違点や共通点を明示しています。
また、Xジェンダーについて書かれた論文や、当事者インタビューも載っています。
こんな人に読んでほしい!
さて、どんな人に読んでほしいかというと、LGBTやXジェンダーに興味がある人、学びたい人にももちろんですが、一番は
自分は男でも女でもないと思ってる…
「男」って決めつけられたりするの嫌だなぁ…
といった、性自認が男女どちらか片方のみに属さない人です!
自分のセクシュアリティがXジェンダーだと自覚している人は
自分ってXジェンダーで間違いなさそう!
とセクシュアリティを判断できるでしょうし、
「Xジェンダーかも?」と悩んでいる人も、『Xジェンダーって何?』を読めばきっとあなたの悩みを解消してくれるはずです。
もちろん、
Xジェンダーってよくわからないけど詳しく知りたい
という人も、Xジェンダーについて正しく知ることができるのでおすすめですよ。
本を読んで役立ったこと
私は『Xジェンダーって何?』を読んで以下のことが役に立ちました。
マジョリティが十人十色であるように、マイノリティも1人として同じ人はおらず、人によってさまざまです。
Xジェンダーも、性自認も性的指向もグラデーションで一人ひとり違います。
私は『Xジェンダーって何?』を読んでXジェンダーのタイプがわかり、Xジェンダーの中でも自分のタイプを特定できました。
Xジェンダーがメディアに出ることは少なく(そもそもXジェンダーに焦点を当てた番組や機会が少ない)、Xジェンダー当事者の声や実態を知りづらいのではないでしょうか。
『Xジェンダーって何?』では、Xジェンダー当事者にを対象にしたアンケート調査や、当事者インタビューが載っているため、Xジェンダーのリアルな声を聞くことができます。
Xジェンダー当事者の声を知れるという点でも、この『Xジェンダーって何?』は非常に貴重です。
共感できることが多く、「こういう感覚って自分だけじゃないんだ」とも思えました。
「Xジェンダー」は「LGBT」に比べると新しい概念のため、Xジェンダーに関する論文も書籍と同じくほとんどありません。
Xジェンダーを専門に研究している教授が少ないため、学生が書いた論文は多少ありますが教授が書いた論文はごくわずか。
また、「Xジェンダー」という言葉は日本独自のものであり、海外では「第3の性」や「ノンバイナリー」と称されることが多いです。(『Xジェンダーって何?』でも触れられています)
そのため、海外の論文で「ノンバイナリー」に関する論文はそこそこありますが、日本の「Xジェンダー」に関する論文は非常に少ないのです。
そんな数少ないXジェンダーの論文が、この『Xジェンダーって何?』で読めるのはかなりすごいですよ。
おすすめする理由
最後に、『Xジェンダーって何?』をおすすめする理由を簡単にまとめます。
まずは本を読んで自分のセクシュアリティ解決できたことが一番大きいです。
私は大学生のときまで自分のセクシュアリティが何かわからずに悩んでいました。
しかし、『Xジェンダーって何?』のおかげで
これこれ!この感覚はXジェンダーって言うんだ!
と思うことができ、自分のセクシュアリティがはっきりしたのです。
セクシュアリティに迷っている人、「自分はXジェンダーかも?」と思っている人にぜひおすすめしたいです。
おすすめポイント
他にも『Xジェンダーって何?』のおすすめポイントが4つあります。
この記事でこれまでにも紹介した内容ですね。
①130名を超える当事者にアンケートをおこなったのは純粋にすごいことだと思います。
私も学生時代に論文でアンケート調査をしましたが、人数集めるのってめちゃくちゃ大変です…
こんなに量も質もある、Xジェンダーの声を知れる場はないでしょう。
②日本にはXジェンダーの論文がほとんどない中で、ひとつの論文が読めるのもおすすめポイントです。
③当事者自助サークル・Label Xが編著を手がけており、Xジェンダーに対して素人ではないというのも信頼できます。
④Xジェンダーについて詳しく書かれている本は『Xジェンダーって何?』だけです。
Xジェンダーのことが知りたい人はぜひ読んでみてください。
これを読んで世界が開けたのでマジでおすすめです!!
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